宇宙に恋して

こころの声を紡ぎながら、目に見えない世界を探求しています。

命の乗りもの

車が好きです。

 

私の場合、

車に興味を持ったのは

大人になってからなので

割と遅咲きなのですが。

 

最初に就職した会社が

輸入車を扱う会社だったので

ペーパードライバーで自動車に無知だった私も

さすがに興味を持たざるを得なかったのと

そこで出逢った

現在のパートナーの影響に依るところは

非常に大きかったと思います。

 

私自身はいろいろあって

自動車関連の仕事は

4年弱で離れてしまったのですが

彼は自動車整備士だったので

その会社が倒産するまで

約10年、整備士として働いていました。

 

結婚した翌年に会社が倒産、

当時、30代の整備士を

中途採用してくれる工場は

なかなか見つかりません。

 

失業保険が終わったあとも

日雇い派遣で働きながら

就職活動をしていたものの

時は無情に過ぎてゆきました。

 

失業から1年半が過ぎた頃、

倒産した会社の元上司がいる

輸入車ディーラーを

紹介してもらいました。

 

いわゆる、コネですね。

 

しかし、

その会社自体が

そもそも整備士を募集しているわけでもなく

コネで面接までこぎつけたところで

よほどのことがなければ

採用するはずがありません。

 

案の定、

採用の条件は

サービスフロントか営業職でした。

その場で辞退してきたそうです。

 

面接から帰宅した彼の口から出た言葉に

私は耳を疑いました。

 

自動車整備士を辞める。

 

子供の頃から自動車が大好きで

車の仕事がしたくて

高校も専門学校もそれ一筋で選択して

やり遂げてきたから整備士になれたのに

その職を手放すなんて

当時の私には想像もできないことでした。

 

しかし、彼の決意は固く

自動車整備士を辞めただけではなく

自動車業界からも

離れることを選んだのです。

 

彼は新たな仕事として

介護職を選びました。

 

そもそも

人と接する仕事は好まない彼が

まさかの介護職という選択に

私も彼の家族も猛反対でしたが

多くを語らない彼が

こんなことを言ったのです。

 

車も肉体も

命を乗せていることには変わらない。

介護も命の乗りものをお世話するのだから

今までやってきたことと同じだし

自分にはそれしかできないから。

 

私は彼の視座の高さに驚き

その決意は一過性のものではなく

きちんと考え抜いたことなのだと感じ

周りがどんなに反対しようとも

せめて私だけは応援しようと決めました。

 

気がつけば介護職も12年目。

自動車整備士よりも長く続けています。

 

今は介護福祉士も取得し

職場では副主任として

実務以外の業務も

任せてもらえるようになりました。

 

視座を高く持つことは

可能性を広げることに繋がります。

 

求める状態が手に入らず苦しいとき

もしかしたら

すぐ目の前にある情報にとらわれて

視野が狭くなっているだけではなく

視座も低くなっているのかもしれません。

 

視座が高くなると

物事が抽象化されていくので

日常生活において

視座の高い状態を維持し続けるのは

なかなか難しいものですが

ちょっと視点を変えるだけで

問題と思っていたことが

そもそも問題ですらなくなってしまう、

なんていうことは結構あるものです。

 

尚、視座については

オントロジー(存在論)を参照すると

より理解が深まると思います。

 

当時の私はオントロジーなんて

言葉すらも知らなかったけれど

視座を高くもつことは

人を自由にするんだなぁと感じます。

 

車も肉体も命の乗りもの。

 

ハンドルを握るときも

その言葉を忘れないようにしています。

 

自動車も命を乗せて走るから

メンテナンスが必要だし

命を守るために

安全運転を心掛ける。

 

お金もったいないから

時間もったいないから

急いでるから

誰も見ていないから…

 

理由をつけて

違反をするのは簡単ですが

もし、そんな気持ちが芽生えたら

「命の乗りもの」という言葉を

思い出してみてくださいね。

 

自動車に限らず、

自分自身の言動についてもです。

 

目先のことにとらわれなくなれば

人生は思いのほか自由なものですよ。

 

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